Thank you for your everything
NHKでやっていた山口百恵のラストコンサート。
もはや昭和歌謡やアイドルの次元を越え、一つの高みに達した孤高の世界は、深く心を満たすものだった。
歌声のすごさにはゾクッとくるし、目の射すくめ方は、誰でも堕とされてしまいそう。MCの凛とした語りも、どこか切ない話しの内容も、歌との連動性があって良かった。
だがもっとすごいのは、それらを上回るたたずまい方。
もはやあの瞬間の彼女を超える存在は、そう出てきはしないだろう。人気も歌声も美しさも、すべてが頂点に達したところでの去り方。
コンサートの最後、ファンに想いを告げるなかで、「私のわがままを許してくれてありがとう」と伝え、彼女は深々と頭を下げる。「幸せになります」
その瞬間、なぜだかこちらまで泣けてきてしまった。
そして歌われるラストソング。少し声を震せて、それでもやはり、威風堂々と。
歌い終わった彼女は、まっすぐ前を向くと、両手でマイクをステージ上に置き、静かに去っていく。
そして幕が下りる。
山口百恵は、たまらなくカッコ良かった。
心を揺さぶられるラストは、けれど永遠の伝説の始まりだった。
こんな完璧な幕引きが出来る人なんて、もう二度と現れないと思う。
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