Bowie
デビッド・ボウイが亡くなった時、幾人かの友人が連絡をくれた。仕事に出かけた時も、やはり何人かからボウイのことを聞かれた。
自分がボウイ好きだと知っていて、気を使ってくれたのだと思う。うまく言葉に出来なかったので、残念だ、とだけ答えた。
正直なことを言えば、すごく悲しいとか、ショックだということはなかった。少なからず動揺はしたけれど、それでも普通に生活する分には何の問題もなかった。
ずいぶん冷たいと思われただろうか。
ボウイは、今までに何度もその音楽性を変えてきた。
凄いのは、音楽性だけでなく、キャラクターそのものまで作り上げ、完璧に演じ切ってしまうことだ。しかも一度突き詰めると、突然それを捨て、また違うキャラクターを作り上げてしまう。
ある時はジギー・スターダストだし、ある時はシン・ホワイト・デュークで、またある時はベルリン3部作のロウだった。
しかも彼は過去の栄光に頼ることなどなく、容赦なく時代の中にその素晴らしいキャラクターたちを置いてきた。
だからもう、お分かりだろうか。
彼の偉大なキャラクターたちは、これまでも我々にさよならを告げてきたし、そのたびに伝説となって、半永久的に生き続けてきたのだ。
自分の中にはいつだってジギーがいるし、ヤング・アメリカンもスケアリー・モンスターズもいる。
ボウイは永遠なのだ。
もし本当に悲しいことがあるなら、それはもう、自分の中に呼びかけても、ボウイの音楽が流れなくなる日、なんだと思う。