You've Got to Have Freedom (Live)
Pharoah Sanders' / Finest
このアルバムで『You've Got to Have Freedom』のライブ演奏を聴くことができるが、原曲で印象的だった女性コーラスは入っていない。(あのコーラスこそが、ジャズとクラブシーンとの最大の橋渡しであったのだが・・)
だが原曲以上にアグレッシブなサキソフォンと、流れるような魅惑のピアノ、躍動感溢れる演奏が、オリジナルとはまた違う最高にヒップな瞬間を作り出す。
その、ある意味激しいぶつかり合いこそが、自由というものの難しさと、身を切る現実の厳しさを改めて問いかけ、そして、道すじを示しているのだと思う。
自由なんて簡単には訪れない。いや、半永久的に現れないかもしれない。
でも、だからこそ、『You've Got to Have Freedom』なのだ。
Thank you for your everything
NHKでやっていた山口百恵のラストコンサート。
もはや昭和歌謡やアイドルの次元を越え、一つの高みに達した孤高の世界は、深く心を満たすものだった。
歌声のすごさにはゾクッとくるし、目の射すくめ方は、誰でも堕とされてしまいそう。MCの凛とした語りも、どこか切ない話しの内容も、歌との連動性があって良かった。
だがもっとすごいのは、それらを上回るたたずまい方。
もはやあの瞬間の彼女を超える存在は、そう出てきはしないだろう。人気も歌声も美しさも、すべてが頂点に達したところでの去り方。
コンサートの最後、ファンに想いを告げるなかで、「私のわがままを許してくれてありがとう」と伝え、彼女は深々と頭を下げる。「幸せになります」
その瞬間、なぜだかこちらまで泣けてきてしまった。
そして歌われるラストソング。少し声を震せて、それでもやはり、威風堂々と。
歌い終わった彼女は、まっすぐ前を向くと、両手でマイクをステージ上に置き、静かに去っていく。
そして幕が下りる。
山口百恵は、たまらなくカッコ良かった。
心を揺さぶられるラストは、けれど永遠の伝説の始まりだった。
こんな完璧な幕引きが出来る人なんて、もう二度と現れないと思う。