Southbound Excursion
Pale Fountains / Pacific Street (1984)
これはほんとうにかけがえのない、大切なアルバム。
思春期のある一瞬にだけ訪れる、清冽な決意みたいな感情。それをそのままサウンドに結実させた、奇跡のような一枚。
切なさと強さを同時に併せ持ち、希望に満ちながら、どこか青春の日々に別れを告げる音・・。
そうだ、このアルバムで歌われたように、南へと急がなければ。
ボクらはいつか慣れ親しんだ街を出て、その先へ踏み出さなければならないから。
これは、ボクらの旅立ちのための、永遠のアルバム。
Hi-Fi Anatomia
コーラを飲みながらテレ東を見ていたら、相対性理論を思い出した。
『四角革命』という曲で「22世紀に生まれたわたしは、テレビを見ながらコーラを飲んでた」と歌っているからだ。
そういえば、しばらく彼女らのアルバム出てないな。
「22世紀に生まれたわたしは
テレビを見ながらコーラを飲んでた
22世紀の夢見るわたしは
授業をさぼって街へとくり出す
25世紀を夢見るわたしは
宇宙開発を横目で見ながら・・」
この曲が入ったアルバム『ハイファイ新書』が出たのは、もう9年も前か・・。
当時、音楽好きやサブカルファンの間で相対性理論の存在は大変な話題になっていたけど、自分もすっかり魅せられた一人。
その言葉のセンスも世界観も、またその不条理ささえ、自由奔放に見えながら、実は綿密に計算され尽くしている(と、思う)。
彼女らのアルバムが出なくなってから、なんだか邦楽シーンもつまらなくなってしまったな。
初期ネオ・アコ的なサウンドを含め、アンニュイさを身にまとった確信犯が、端正な世界の上を絶妙にすり抜けていく。