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Night Cruising 1995

 ナイトクルージング シングル盤.jpg
 フィッシュマンズ / ナイトクルージング (1995)

 自分にとって90年代中頃の東京は、岡崎京子の「リバーズ・エッジ」と、フィッシュマンズの「ナイトクルージング」のイメージ。
 実際、間違ってないと思う。
 音楽シーンでいうと、ちょうど「渋谷系」が始まる頃で、表の世界のキラメく東京は彼ら渋谷系が牽引し、実際の東京(のいろいろな意味でエッジな場所)で起こっていたことは、下北沢系である岡崎京子やフィッシュマンズが表現していた、と思う。
 いま考えても、あの頃の得体の知れないキラキラの空気感と、底知れぬブルーな行き詰まりが同時に漂っていた殺伐とした光景は、目に見えずにあらゆる場所に拡散された絶望のような気がして、軽くめまいを覚える。
 経済以上の「失われた20年間」が、あの時から始まったんだと思う。

 それにしても、冷静になって振り返ってもなお、同時進行していたキラキラの絶望感をこんなにも的確に、作品そのものまで浮遊感溢れる傑作として作り上げた彼らは、本当にあの時、ある種の高みにまで達してしまった。

 もし岡崎京子とフィッシュマンズに不幸な出来事が起こらず、作品を発表し続けていたら、こんな失われた20年にはなっていなかったんじゃないかと、本気で思う。


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